イギリスにおいて史上最も長い在位期間を誇るエリザベス2世。
その治世の始まりである「戴冠式」は異例の連続でした。
73年前の本日、1953年6月2日に挙行されたエリザベス2世の戴冠式について、また関連するコインについてご紹介いたします。
若き女王に託された時代の期待
1952年2月6日、当時25歳だったエリザベス王女は訪問中のケニアのアバーディア国立公園にあるツリートップスという木の上に建てられた宿泊施設に滞在中、父王ジョージ6世の崩御を知らされ、その瞬間からエリザベス2世として英国王に即位することになります。
その時の様子を表す言葉として「王女として木に登り、女王として降りてきた」という言葉が残っています。
若き女王に国民が抱いた感情は単純な祝福だけではありませんでした。
英国は当時第二次大戦の傷跡を色濃く残していました。食料配布制度は続き、経済は回復途上。かつて「太陽の沈まない国」と呼ばれた大英帝国の姿は失いつつありました。
そんな時代に即位した若干25歳の若い女王は、人々にとってまさに未来への希望でした。
新しい時代の象徴として戦後の英国を導く期待が寄せられたのです。
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最も有名なエリザベス2世の戴冠記念コイン「馬上のエリザベス」

表面には女王の愛馬ウィンストンに乗ずる姿が描かれ、裏面には英連邦に属する国の紋章とそれぞれの国家を象徴する花、中央には英国王位を示す王冠がデザインされています。
コイン:1953 エリザベス2世 エリザベス2世戴冠記念 クラウン白銅貨 PCGS PR65CAM
歴代王の道を辿る舞台「ウェストミンスター寺院」
画像:ウェストミンスター寺院 |
エリザベス2世の戴冠式の会場となったのは、ロンドン中心部に建つイングランド国教会のウェストミンスター寺院。 1066年のウィリアム1世以来、エドワード5世とエドワード8世を除くすべての歴代英国王が戴冠式を行った世界遺産です。 石造りの壮麗な建物に足を踏み入れると、そこには英国史そのものが刻まれています。 |
歴代の王や女王が歩いた通路。
数百年にわたり受け継がれてきた儀式。
そして王権の象徴として守られてきた宝物。
エリザベス2世の戴冠式もまた、その長い歴史の流れの中で行われました。
一方で、この日の主役は、伝統に包まれながらも現代を生きる若き女王でした。
過去と未来が交差する舞台。それが1953年のウェストミンスター寺院だったのです。
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コイン上で描かれるウェストミンスター寺院

エリザベス2世が崩御した後、チャールズ3世の戴冠式もウェストミンスター寺院にて執り行われました。戴冠を記念するコインでは、英国王が戴冠している特別なポートレートが使用され、裏面にはチャールズ3世を示すロイヤルサイファとウェストミンスター寺院が描かれています。
コイン:2023 チャールズ3世 戴冠記念 50ペンスプルーフ銀貨 未鑑定 箱付き
テレビ中継が変えた王室の歴史
エリザベス2世の戴冠式で前代未聞のイレギュラーについて大きな議論がありました。
それは「テレビ中継」を認めるかどうかという点でした。
当時テレビはまだ新しいメディアで、神聖な儀式をカメラの前にさらすべきではないという反対意見がありました。
儀式の厳粛さや王室の威厳が失われてしまうのでは?という懸念で揺れていたのです。
最終的にテレビ中継は認められ、世界各国に初めて戴冠式という王室の重要儀式が発信されました。
このことは歴史を変え、今や王室の結婚式や国葬が世界中で生中継されるのは当たり前になりましたが、その流れを作ったのがエリザベス2世の戴冠式でした。
テレビ中継される戴冠式
引用:YouTube ANNnews CH.【70年前】英女王 エリザベス2世の戴冠式 2つの王冠 300万人の群衆 1953年(2023年5月6日)【映像記録 news archive】
王冠が頭上に置かれた瞬間
画像:エリザベス2世戴冠肖像 |
戴冠式のクライマックスである「戴冠」は、神の前で君主としての使命を引き受けることを意味する重要な儀式です。 戴冠式で使われるレガリアで最たるものとして「聖エドワード王冠」が頭上に戴くクラウンです。 聖エドワード王冠は11世紀のエドワード懺悔王にちなんで名付けられた王冠ですが、オリジナルは1649年にイングランド内戦に失われており、現在はチャールズ2世の戴冠式のために作り直されたものが使用されています。 |
重量は約2キロもあり、ヴィクトリア女王とエドワード7世はその重さから敢えて別の王冠を用いたという話があります。
そんな聖エドワード王冠を戴冠し、寺院では「God Save the Queen」が厳かに斉唱されました。
参列者たちは新たな君主への忠誠を誓い、英国は正式にエリザベス2世の時代を迎えたのです。
当時の映像を見ると、その表情には緊張と決意が入り混じっています。
まだ27歳の女性が、一国の象徴としての責任を背負う。その重みが伝わってくるような式でした。
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戴冠(在位)の周年を祝うコイン

英国王の在位周年を記念する式典や祝賀を「ジュビリー」といいます。
在位期間でそれぞれシルバー(25周年)、ゴールデン(50周年)、ダイアモンド(60周年)、サファイア(65周年)、プラチナ(70周年)と呼ばれ、記念コインが発行されています。特にプラチナジュビリーはエリザベス2世がイギリス史上初めて到達し、大いに盛り上がりをみせました。
戴冠式が残したもの
振り返ってみると、1953年の戴冠式は単なる王室の伝統イベントではありませんでした。
それは戦後英国の再出発を象徴する国家的な儀式であり、王室がメディア時代へ適応する転換点でもありました。さらに言えば、この日世界が目撃したのは、一人の若い女性が歴史的な責任を引き受ける瞬間でした。
豪華な王冠や壮麗な衣装は確かに印象的です。
しかし、本当に人々の記憶に残ったのは、その華やかさではなく、未来への決意を秘めた若き女王の姿だったのではないでしょうか。
1953年6月2日、ウェストミンスター寺院で王冠を授かった27歳の女王は、その後70年以上にわたり英国と世界を見守り続けました。
だからこそ、エリザベス2世の戴冠式は今なお「20世紀を代表する歴史的瞬間」として語り継がれているのです。
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エリザベス2世生誕100周年を記念するコイン

2026年4月21日はエリザベス2世の生誕100周年を祝う特別な年です。
世界各国の造幣局からは様々な記念コインが発行されており、偉大な英国女王の崩御から4年経ってもその気品と威厳は人々の心に深く刻まれています。
特設ページよりエリザベス2世生誕100周年の軌跡をご覧いただけます。






