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    <h2>19世紀初頭に新たなスタートを切った新生ソブリン金貨の変遷</h2>\r\n
    <p>歴代王朝の顔として、今日まで英国貨幣史を築き上げて来たソブリン金貨。現在、英国における1スターリング・ポンドと等価とされる金貨の呼称として知られていますが、この名前を持つ史上初の金貨の来歴は大変古く、15世紀にテューダー朝を興したヘンリー7世の治世にまで遡ります。玉座に座る国王が描かれていたため、ソブリン(君主)と命名されました。その後、この旧ソブリン金貨はヘンリー8世、エリザベス2世の治世を経て、ジェームズ1世統治下の1604年に鋳造が打ち切られるまで存続し、それまで文字通り英国貨幣界の「君主」として君臨しました。現在、我々が知るところのソブリン金貨は全く別のもので、19世紀初頭のジョージ3世の時代を源流とし、金本位制への移行期に新しく考案された金貨に再び「ソブリン」の名が与えられたのが始まりです。新生ソブリン貨として新たなスタートを切ったこの法定金貨は、表面に当時の国王ジョージ3世の肖像を掲げ、裏面には当時を代表するコインデザイナー、ベネデット・ピストゥルッチ(1783年-1861年)の最高傑作「聖ジョージの竜退治」を掲げるもので、以後、この図案がソブリン金貨の代表的な意匠として継承されることになります。19世紀を通じて最も高く評価されていた金貨として、ヴィクトリア女王の即位の翌年、1838年に発行された女王の治世初のソブリン金貨が挙げられます。これは当時、キャリアの最円熟期に差し掛かっていた名匠ウィリアム・ワイオン(1795年-1851年)がデザインした「ヤング・ヘッド」の通称で知られる女王のポートレートをコイン表面に描いたもので、1874年まで継続的に鋳造され人気を集めました。20世紀以降も歴代英国王の治世を象徴する公式な金貨として発行され続けていたソブリン金貨ですが、それらの中でもとりわけ1936年1月に即位したものの同年12月に突然退位したエドワード8世の治世下に発行されたソブリン金貨は、わずか5枚のみの発行枚数という極端な希少価値と共に、存在そのものが伝説化している感があります。昨年2021年にはそのうちの一枚が数カ月を隔てて二度オークションに出品され、記録的な史上最高落札値の更新によって世界を驚嘆させました。モダンコインの到来を告げる1952年のエリザベス2世の即位は英国貨幣界にも多大なる影響を及ぼし、ヴィクトリア期以後初となる女性の君主の肖像を描くソブリン金貨の待望の出現は、英国貨幣の近未来をゴールド特有の温かみのある輝きによって明るく照らし出しました。</p>\r\n
    <h2>エリザベス2世の栄光の治世を表裏に余すところなく表現するモダンコインの大作</h2>\r\n
    <p>1974年に英国貨幣界にて華々しいデビューを飾り、全てのモダンコインの中でも一際高い人気を誇るエリザベス2世の治世下2番目のソブリン貨には、1968年に考案された美しくも荘厳なる趣きを湛えた公式コインポートレート「第2肖像」が描かれています。「第1肖像」に見られるような若々しい躍動感は後退しているものの、1968年当時42歳と壮年期に差し掛かっていた女王の自信漲る貫禄を前面に出した表現力と写実性が実を結び、稀に見る傑作コインポートレートとしての高評価を獲得していました。今回ご紹介させていただくこのソブリン金貨は、エリザベス2世の治世下に発行されたソブリン金貨としては初となる「第2肖像」を表面に描くもので、次の「第3肖像」が導入される1985年までの間、英国本国のみならず、ロイヤルミントによる傑作群を代表する金貨として世界的な人気を獲得しました。ソブリン金貨上に初お目見えとなった女王の「第2肖像」ですが、歴史的な秘宝「大英帝国とアイルランドの少女たちのティアラ」を頭上に戴く壮年期の女王の気高い横顔を浮き彫りにしたデザインは当金貨ならではの絶対的価値であることから、発行と同時に例外的な注目を集め、20世紀後半の英国王室を象徴する伝説的コインデザインとして認知されるに至ります。コイン裏面にはお馴染みの「聖ジョージの竜退治」の名場面が描かれていますが、この英国貨幣史上屈指の人気を誇るデザインを生み出したピストゥルッチは、19世紀前半のロイヤルミントにおいてワイオンと人気を二分した偉大なるコインデザイナーとして歴史上に名を残しています。悪の象徴であるドラゴンを一撃の下に槍で退治する馬上の聖人の姿は、偉大なる国家を統治し、国民に平和をもたらす永遠の君主像と見なされることから、歴代のソブリン金貨の裏面を飾るにはうってつけの題材でした。当ソブリン金貨は、20世紀から21世紀にかけて英国を牽引することを運命づけられた名君エリザベス2世の栄光の治世をコイン表裏にドラマティックに表現するモダンコインの大作として、今後一層の脚光を浴びることは間違いありません。</p>
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